「ついに封印を解く時がきたか……」
「封印?あんたなんか封印してたっけ?」
「何を隠そう封印してた物はコイツだ!!」
「それって……風邪薬……よね?」
「そのとーり!!」
バキッ!!
「そんなもん物々しく見せるな!!」
「だからって殴らなくても……いやね、去年胃を悪くしてから、軽く風邪っぽいなと思った時もあえて飲まなかったわけよ。でも、最近胃の調子もいいから、そろそろ飲んでも大丈夫かなって。」
「そんなに風邪がひどいの?」
「ちょっと熱っぽい感じと軽く鼻がつまる感じとのどがちょい痛いってくらいかな。まあどの症状も軽いんだけど、ひどくなってからじゃ遅いじゃん?」
「まあそうね。抵抗力が弱まって、また胃が痛くなっても困るもんね。早くなおしなさいよ。それじゃ、また明日〜(⌒∇⌒)ノフリフリ」
「ヒンギス負けちゃったな……」
「そうね。完全復活を期待したんだけどね。」
「僕はヒンギスの出来は決して悪くなかったと思うんだよね。」
「じゃあディメンティエワが強かったってこと?」
「そうだね。僕はディメンティエワが長所を生かしきったと思うんだ。彼女の長所は粘り強さというか、しつこさじゃないかな。リーチが長いうえに、よく走ってたし、ポジショニングもひじょうに良く見えた。だから、昨日のシャラポワではとれなかったボールにもしつこくくらいついていけたんじゃないかな。」
「ここまでの試合、すべてフルセット戦って勝ち進んできたんだもんね。粘り強いって証拠だわ。」
「それに運も味方したように思う。ギリギリラケットに当てたボールが、うまく相手コートに入ったって感じのプレーがいくつもあったからね。まあそれも、しつこく拾った成果だろうね。」
「結局、最後はヒンギスが自滅した形になっちゃったわね。」
「昨日のシャラポワと今日のヒンギスが重ねられてたけど。明らかにシャラポワの方が我慢強く見えたよ。このへんにブランクってのが関係してるのかもね。」
「偉そうに分析してるけど、あんたテニスはど素人よね?」
「うっ……早く全仏始まんないかな〜。」
「うわ〜誤魔化した。あんまり知ったかぶりしてると嫌われるわよ。それじゃ、また明日〜(⌒∇⌒)ノフリフリ」
「」
「うお〜ヒンギスすごいな〜。」
「シャラポワに勝っちゃったわね。」
「まさにパワー対テクニックって感じだったね。シャラポワが強打すればするほど、カウンターでものすごいボールが返ってきてたね。特にヒンギスのバックハンドは強烈だったな〜。」
「綺麗に決まってたわよね。バックのロブも見事だったわ。」
「まさに鳥肌ものだったね。ラリーの緩急のつけ方も最高だった。ヒンギスがペースをつかんではなさなかったな。」
「ヒンギス完全復活ってことなのかしらね。」
「僕は残念なことに、昔のヒンギスのプレーを知らないんだよね。テニスに興味を持ち始めたのが、ここ2、3年だから。それが、いまや『全豪も地上波でやれよ!!』って思うようになるとはねえ。」
「変われば変わるものね。まあ松岡修造が絶賛する試合が見られたんだから、良かったじゃない。」
「そうだね。こうなったらヒンギスには是非優勝してほしいな。」
「明日も楽しみね。それじゃ、また明日〜(⌒∇⌒)ノフリフリ」
「うっうっ……ひぐっ……」
「うわ〜あんた何泣いてんのよ?」
「い、いや……なんでもないよ……」
「なんでもないことないでしょ?教えなさいよ。」
「い、いや……これは……」
バキッ!!
「あ〜うっとうしい!!はっきり言いなさい!!」
「じ、実はテレビを見ていて……」
「は?」
「『白い巨塔』の最終話を見て号泣しちゃったんだよ〜。」
「プクククククク……ドラマ見て泣いてんの?それはもう、『おっさん』じゃない。」
「くぅ〜だから言いたくなかったのに……いや〜ドラマ見て、うるっときたことくらいはあるけど、号泣するとは自分でもびっくりだよ。しかも、このドラマ見るの2回目なのに……最近、『死』について考えること多かったからかな……」
「なんか、あったの?」
「去年はかなり胃痛が長びいたから、このまま死ぬかもって思ったし、今年のはじめには高校の時の後輩が他界したって連絡があってね……今まで頭の隅に追いやられてた『死』の感触が身近なものに感じられるようになったのかもな。それを財前先生の死と重ね合わせてしまったのかな。」
「そう。あんたはまだ生きてるんだから、しっかりがんばらなきゃね。それじゃ、また明日〜(⌒∇⌒)ノフリフリ」