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-From 2-

手をつかむ


 サワサワ……
 あたしは気のせいだと思おうとした……が、その感触は明らかにあたしのお尻をなでているものだった。
 どうしよう……
 あたしはそろそろ我慢の限界にきていた。
 かといって声をあげるのは恥ずかしい。
 次の駅で降りるのは逃げるみたいでしゃくだし、なにより満員電車に再び乗り込む気にはなれなかった。
 しかし、なんとかしなくては……
 そこであたしはいいことを思いついた。
 このあたしのお尻を触っている手をガッと握って、思いっきりにらんでやろう。
 これが一番いい方法のような気がした。
 満員電車とはいっても振り向くくらいはなんとかできそうだった。
 スーハー、スーハー
 あたしは気付かれないように注意しながら深呼吸をし、勇気をふりしぼって……
 ガッ!!
 あたしはお尻を触っている手を思いっきりつかんだ。

 ん?
 つかんだところが手首だとしてもなんとなく細い。
 いやなんとなくどころではなく、どう考えても細すぎるのだ。
 まさか……エロジジイ?
 いや、それにしては肌がスベスベして……
 ってことは……まさか……
「うああ〜〜〜ん!!!!」

………………

「はあ……」
 数十分後、あたしは疲れきっていた。
 結局その次の駅で降ろさせられ、子供の腕を思いっきりつかむとは何事だと、あたしはその子の母親に朝の通勤ラッシュでごったがえすホームでこっぴどくしかられた。
 あんたのしつけがなってないんじゃないの!?
 と心の中では叫んでいたが、口にだして言えるはずもなかった。
 この手のおばさんは言い返すとさらに長くなることを知っているあたしは、じっと黙って耐え、開放されると同時にまた満員電車に乗り込みようやく目的地に着いたのだった。



著者:バクスイ






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