『なつかしい風』
台風が通り過ぎた後、なんとなく外に出てみたくなった。
滝のような雨はやみ、今はただ、いつもより強めの風が、とり残されたようにふいているだけだった。
空を見上げると幾分白くなった雲が、駆け足で通り過ぎていくのが見える。
そんな僕にふきつける風。
気持ちいい。
こんなに風を心地よく感じたのはいつ以来だろう。
髪が乱れることなんか、少しも気にしていなかったあのころ。
あのころのように素直に風を感じていたい。
ことあるごとに思い出すのではなく、それが自然であるように。
雲の切れ間から差し込んでくる太陽の光がとてもまぶしかった。
あとがき
これはふと感じたことをそのまま文章にしたものです。
小説というよりは詩、あるいは日記に近いものかもしれません。
もっと小説っぽく膨らませてもよかったのですが、何故かあまり飾らず書きたくなり、思ったことをほぼダイレクトに書きました。
あのころは素直だったなあと思ってしまうということは、今素直じゃないってことですよね。
ずっと素直で純粋な気持ちを忘れずにいたいものです。