小説(兼日記)10月前半版

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「ごちそうさまでした〜。」

「気をつけて帰ってね。」

バイバイ、コイルくん!!」

「はい。お邪魔しました。」

礼儀正しくあいさつをするとコイルは家路についた。

学校が終わった後、友達の家でお昼ご飯をごちそうになった。
そう、今日は土曜日なのだ。
そして、そのまま居座り、今はもう夕方である。

そして、今日は台風が接近しているせいかかなり暗くなっている。
戦後最大級の台風らしい。
コイルは雨が降り出さないうちに急いで家に帰った。



「ただいま〜。」

「おかえり〜。どこいってたの?お昼ごはんは?」

家に戻ると咲羅が出迎えてくれた。

「うん。友達のところで食べてきた。」

「そう。なら、いいけど。ああ、夕飯何がいい?コイルくんの好きなハンバーグにしよっか?」

コイルには咲羅がいつもよりニコニコしているように見えた。

「咲羅お姉ちゃん、何かいいことあった?」

「え?どうして?」

「何か機嫌よさそうだから…」

「何にもないわよ。それよりお父さんどこいっちゃたのかしら?仕事ほっぽらかして…ねえ、コイルくん。」

何だかうまく誤魔化されたような気がするコイルであった。




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「だあ〜!!降ってきやがった!!もうちょっと待てよな。ったく…」

ぶつぶついいながら小次郎が帰ってきた。

「ああ、おかえりなさ〜い。」

咲羅が出迎えた。

「どこ行ってたのよ、こんな時間まで。」

人助けだ、人助け。お腹痛いって人をほっとけるほど薄情な人間じゃないんでね。」

「ふ〜ん…今月はこれで何人目かしら?」

「え〜と、ひい、ふう、みい…って、ちが〜う!!今回はホントなんだって。」

「はいはい。」

咲羅は全く信用してないらしい。

「あ〜!!くそ!!コイル、おまえもなんとか言ってやれ!!」

コイルに助け舟を求めてみた小次郎だったが…

「僕知らないもん。」

「ったく、使えねえガキだな!!そういう時は話をあわせるもんだ。そうすりゃ後で御褒美が…」

「お父さん!!コイルくんに変なこと教えないで!!」

こんな調子で騒いでいたせいもあり、小次郎が気付いた時には台風はすでに通過した後だったという。




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トゥルルルルル…トゥルルルルル…

久々の依頼か!?
と思い、小次郎ははりきって電話にでた。

「はい!!上杉探偵事務所です!!ご依頼ですか!?」

しかし、電話に出たのは、聞き覚えのある声だった。

「ああ、おじさん?あたし。遠子。」

「なんだよ、仕事の依頼じゃねえのか…」

小次郎はあからさまにがっかりした声をだした。

「なによ。トップアイドルが電話してあげてるのよ。少しは喜びなさいよ。」

そういえば、遠子には名刺を渡したんだった。

「はいはい。それで?何の用だ?でもでたか?」

「か、仮にもレディにむかってなんてこというのよ!!他にも言い方あるでしょ!!ガスとかなんとか…」

「別に同じじゃねえか。屁だろうがガスだろうが。」

「…もういいわ…それに昨日の今日ででるわけないじゃない。」

「じゃあ何の用だ?こちとら忙しい身でね。」




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「あ、あのね…昨日は…その…ありがとう…」

ちょっと照れているのが電話越しでもわかる。

「それでね。ちょっとお礼がしたいと思って…」

1000万くらいでいいぞ。」

「そんなこというならあげないわよ。」

「ああっ、すみません。遠子様!!で、いかほど…」

「いいかげん、現金から離れなさいよ…あたし退院したら、静養も兼ねて温泉に連れて行ってもらえることになったんだけど、まだ何人か連れていけるらしいのね。だから…一緒にどうかな…と思って…」

最後の方はちょっと口ごもっていた遠子だった。

「何人かか…うちのガキどもも連れて行っていいか?」

小次郎の口からちょっと意外な言葉がとびだした。

「え?それは…」

遠子は何か言おうとしたが…

「これでも父親だからな…」

小次郎は声のトーンを落として言った。
遠子も父親という言葉には弱い。

「…わかったわ。で、お子さんは何人?」

2人だ。」

ホントは1人でもう1人は預かっている子供だが、小次郎は説明するのが面倒だったので、2人ということにしておいた。

「そのくらいなら問題ないわね。それじゃ、詳しいことはまた連絡するわ。」

「ああ。寂しくなったらいつでも電話かけろよ。」

「な、何言ってんの…じゃあね…」

そうして電話はきれた。
小次郎は立ち上がり、窓の外を眺めた。

これで約束が果たせる!!

小次郎はこの間、咲羅とちょっとした賭けをして負けてしまい、今年中に旅行に連れて行くという約束をさせられていたのだ。
どう誤魔化そうかと悩んでいた矢先にこれだ。

人助けはしとくもんだ。
1人うなずきながらニヤける小次郎であった。




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その後、結局仕事の依頼がくる気配はなかったので、小次郎はまたプラプラと街へでた。

少し人通りの少ない路地を歩いていると、小次郎は、通常落ちているはずのないものが落ちていることに気がついた。
なぜこんなところに落ちているのだろう…

女物のパンツ…

それをマジマジと見つめたり、手にとって見たり、においをかいでみたり、かぶってみる…なんてことはさすがに小次郎といえどもできなかった。
どんな人物が履いていたのかわからないし、なにより探偵は信用が命である。
いくら人通りが少ないとはいえ誰が見ているかわかったものではない。

小次郎はニヒルな顔を保ったまま通りすぎた。
しかしである。

ちらっとしか見なかったが、値札はついていなかったと思う。
だとするとそこで脱いだということになるが…

たとえそこで夜の営みが行われていたとしても…履いていくだろ、普通。
何かのプレイなら別だが…

旅行にいくとかで、かえの下着を持っていてそれを落とした?
しかし、そんな落ちるようなところに下着をいれておくだろうか?

あと考えられるのはドッキリくらいしか…

ガン!!

「ぐわっ!!」

バカなことを考えていたせいか、小次郎は電柱にもろ頭をぶつけた。




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ぶつけた頭をさすりながら小次郎は散歩を続けた。

久しぶりに本屋にでも行くか…

そう思った小次郎は近くの本屋に入った。
その店にしては珍しく、けっこう混んでいた。
小次郎は混んでいたり、順番待ちでならんだりするのは嫌いだったが、その店は広めのゆったりしたつくりになっているので、それほど気にならなかった。

店内を歩いていて目についたのが、東野圭吾の『秘密』だ。
映画化もされていて、ちょっと前に話題になっていたが、小次郎は映画も見てないし、小説も読んでいなかった。
以前から小説は読もうと思っていたのだが、今日まで本屋で見かけることがなかったのだ。

小次郎は東野圭吾の作品が大好きだ。
この人の作品は最後まで何が起こるかわからないので、とてもおもしろい。
小次郎はこの人の作品の大半を読んでいる。

ハードカバーは高いので、大抵は文庫になってから購入するのだが…

小次郎はパソコン関連の雑誌一冊と一緒にその本をレジへ持っていった。
その他にもサッカー関連の雑誌も買おうかと思ったが、財布と相談して今回はやめておいた。

帰り道、橋の上から台風で増水した汚い川を見ながら、小次郎はつぶやいた。

「あ〜あ、何か事件でも起こんねえかな…」

その直後、橋から身を乗り出していた小次郎のポケットから財布がスルリとすべりおちた。

だ〜〜〜!!!!!

自分で事件を起こしてしまった小次郎であった。




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今日、小次郎はおとなしく事務所でテレビを見ていた。
気になるニュースが3つあった。

1つ目…株価の大幅下落

1983年以来の低水準らしい。
小次郎もいくつか株を所有しているが、こんな状況で儲かっているはずもない。
さらに証券税制改革とかで、税金の支払方法が複雑になりすぎている。
小次郎もいまだ全てを把握してはいない。
かなり文句も出ているので、またころっと変えるかもかもしれないということもある。

2つ目…マンハッタンカフェ引退へ

フランスの凱旋門賞に出走したマンハッタンカフェはレース途中に故障発生。
左前脚屈腱炎と診断され、引退の運びとなった。
現役最強といわれている馬の引退であり、また競馬会が少し寂しくなる。
限界をこえるような走りを強いられているサラブレッドとしては、脚の怪我はしかたがないものなのかもしれないが…

3つ目…日本代表決定

ジーコ新監督の下で、対ジャマイカ戦にむけての日本代表が決定した。
さすがに海外組はレベルが一段上ということで呼び寄せている。
小次郎としては、川口を正GKとして使って欲しかったのだが、呼ばれもしなかった。
まあ試合に出られていないのだからしかたないのだが…
結局選ばれたメンバーを見てみると、中盤は非常にいい選手がそろっている。
ただ、得意なポジションがかぶっていたりして、フォーメーションを組むのは難しそうだ。
しかし、やはりFWがどうしても見劣りする。
相手にとってなんら脅威となっていないと小次郎は思った。

とまあこんな感じなのだが、どうもパッとしないニュースばかりだ。

「あ〜あ…なんかこうドカンと…」

小次郎は、ハッとしてあたりをきょろきょろと見回した。

「いや、平和が一番だな。うん。」

誰にともなく小次郎は言った。
何か爆発でもしたらたまったものではない。

チッ

どこかで舌打ちが聞こえたような気がする小次郎だった。




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ピンポーン

ある日の夕方、玄関のチャイムが鳴った。

「は〜い」

咲羅が玄関に走っていった。
咲羅が家にいる時は、たとえ依頼者であってもまず咲羅が出る。
ホントに働き者である。

ガチャ

咲羅が玄関を開けるとそこには帽子を目深にかぶりサングラスをかけたいかにも怪しい人物が立っていた。

「どちら様ですか?」

咲羅は警戒しながら聞いた。

「ひょっとして上杉小次郎さんの娘さんですか?」

「そうですけど…」

「じゃあこれははずしてもいいかな。」

そう言って帽子とサングラスをとった。
しばしの沈黙の後…

「あ〜!!海野遠子さん!!」

咲羅はようやく声をあげた。
テレビにでているアイドルがいきなり家にくれば誰だって驚く。

「はじめまして。小次郎さんに会いにきました。」

「えっ?でも、どうして…」

「えっ?小次郎さんから何も聞いてないんですか?」

「お父さんから…あっ!!」

咲羅は思い出した。
そういえば、小次郎が少し遅く帰ってきた日に『海野遠子を病院に運んだ』…というようなことを言っていた。
咲羅はいつものいいわけだと思ってろくに聞いていなかったのだ。




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「じゃあホントに入院されてたんですか?」

「はい。今日やっと退院できたので、ご報告にと思って…」

そこへ小次郎が奥から出てきた。

「咲羅どうした?NHKならテレビないって…ああ、なんだ。遠子ちゃんか。はでたのか?」

『いきなり何言ってんの!!』

咲羅と遠子の声がかぶった。
二人は顔を見合わせて笑った。

「どうぞ。あがってください。」

ひとしきり笑った後、咲羅が言った。

「あ、はい。じゃあ少しだけお邪魔します。」

おみやげは持ってきたんだろうな?」

また小次郎がまた余計なことを口走った。

「ああ、そうだ。咲羅さん。これ良かったら食べてください。」

遠子は小次郎を無視して咲羅におみやげを渡した。

「わざわざありがとうございます。しっかりお父さん抜きで食べますから。」

初対面にしてはなかなかいいコンビネーションを見せてくれる。

「おいおい、オレが助けたんじゃ…」

小次郎のことなどまったく無視して二人は奥へ入っていった。




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「きゃ〜!!かわいい!!」

遠子はコイルを見て声をあげた。
コイルはペコッとおじぎをした。

「こんにちは。はじめまして。」

「こんにちは。礼儀正しいのね。咲羅さんそっくり。」

そんなことを言いながら遠子はコイルの頭を撫でた。

「でもずいぶん年の離れた姉弟ね…」

「ああ。違うのよ。コイルくんはね…」

そして咲羅は説明を始めた。

コイルは近所の家の子で、両親は海外出張中
コイルの両親と親しい友人である小次郎がその間預かることになったのだ。

「へぇ〜。そうなんだ…あれ、ってことは、こないだおじさんが言ってた子供が二人っていうのは…」

「ああ、そいつをいれて二人だ。説明するのが面倒…っていうよりそのガキだけおいてくわけにはいかんだろ?」

そういうと小次郎はタバコに火をつけた。

「おいていくってなんの話?」

咲羅が不思議そうに訊いた。




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「あれ?おじさん、話してないの?」

「ああ。半信半疑だったからな。」

「つまりはあたしのことを信用してなかったと?」

遠子がジト目で小次郎のほうを見た。

「いやいや、アイドルは忙しいからな…」

「ねえ、何の話?」

咲羅がしびれをきらして聞いてきたので、遠子が説明し始めた。

「毎年、事務所の慰安旅行があるんだけど、今年はあたしの静養も兼ねて温泉にいくことになったの。それで、小さな温泉を貸切にしてもらうことになったんだけど、人数的に少し余裕があるのね。それで、病院に運んでくれたお礼ってことで、おじさんを誘ったの。」

「えっ!?それじゃ、私とコイルくんも連れてってもらえるの?」

「もちろんよ。」

ホント!?すっごい、うれしい〜。ね、コイルくん?」

「うん。しっかり日頃の疲れを落としてこようっと。」

このガキはホントわけわからん…
と小次郎は思った。




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「お邪魔しました〜。」

遠子は例によって帽子にサングラスといういでたちだ。

「バイバイ、遠子ちゃん。」

「うん、またね。咲羅ちゃん。コイルくんもまたね。」

「バイバイ、遠子お姉ちゃん。」

遠子と咲羅は同い年ということもあり、かなり仲良くなったようだ。
遠子を見送った後、咲羅が言った。

「遠子ちゃんってアイドルなのに、偉そうだったりわがままだったりしないのね。」

「そうか?そのうち本性を現すかもしれねえぞ。」

「そんな娘じゃないわよ。」

咲羅はかなり遠子のことを気にいったらしい。

「そういえば…お父さん。」

「ん?」

「これで例の約束を果たしたとか思ってないでしょうね?これとあれとは別だからね。」

「さ〜て、秋華賞の予想でもするかな。やっぱファインモーションははずせねえよな…」

「ちょっと、お父さん!!

今日もにぎやかな上杉家であった。




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小次郎はすでに馬券は購入済みで、家のテレビで観戦するところであったのだが…

うっ!!腹いてえ…」

秋華賞5分前、小次郎の腹は限界にきていた。
30分ほど前から痛かったのだが、秋華賞が終わってからで間に合うと思っていたが、甘かった。

このままではろくに応援できん…
そう思った小次郎はトイレへダッシュした。

手を洗うのもそこそこに小次郎が急いで戻ってきた時にはゲート入りが始まるところだった。

「ふい〜セーフ…」

小次郎は思わずつぶやいた。

レース前順調にゲート入りが進んでいるかと思いきや、シャイニンルビーがゲート内で立ち上がったりしたため、一旦外にだされ、大外枠からの出走となった。
小次郎はシャイニンルビーはほとんど買っていなかったので、たいして気にならなかった。

『…各馬一斉にスタート。断然人気のファインモーションもいいスタート。ユウキャラットが先頭にたちました。ファインモーションは3,4番手を進みます。並ぶようにしてチャペルコンサート…内のほうからはシアリアスバイオ…』

「よしよし。いい感じの位置取りだ。この位置ならファインモーションがつつまれることはないな…」

小次郎もしっかりファインモーションから流して相手はチャペルコンサート、シアリアスバイオあたりだと思っていた。

『さあ第4コーナーを回り、早くもファインモーションが先頭に並びかける。あっさりかわして、2馬身、3馬身。ぐんぐん差が開く…』

この時点で小次郎の目は2着争いを見ていた。

「おおっ!!いいぞシアリアスバイオ!!外からサクラヴィクトリア!?まずい…なんでそんなに脚色がいいんだ?粘れ、粘れ、バイオ、バイオ〜〜!!」

応援むなしく2着はサクラヴィクトリア。
1着はもちろんファインモーション。
もちろん小次郎はハズレだ。

「だ〜!!くそ〜!!粘れよ、バイオ〜!!……しっかしファインモーション強かったな…4コーナー回ってユウキャラットと並ぶまでほとんど持ったままだからな……まあいいや。さ〜て、来週の菊花賞はと…」

ポジティブに考える小次郎であった。




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「う〜ん…なんかテンションあがんねえな…」

小次郎は昨日、夜更かししたせいで、起きるのがいつもよりさらに遅かった。
もちろんお昼はとっくに過ぎている。
そのせいかどうかは定かではないが、なんとなく気持ちが沈んでいるような気がした。

「ちょっと出かけてくるか…」

外はからっとした秋晴れの陽気だった。
小次郎は陽の光を浴びるべく、自転車にまたがり、あてもなく走りだした。

長袖で出かけたものの、暑くなってすぐ半袖になった。
だが、夏とは違い、風が冷たいのでサイクリングにはちょうどいい気温だ。

1時間ほど汗ばむくらい走ったが、小次郎の気分はすっきりしなかった。

原因はまったくわからなかった。
バイオリズムといった類のことかもしれない。

「ったく…なんだってんだ…」

川のほとりで誰にともなく愚痴をこぼした。
だからといって気分が晴れるわけでもない。
どうしようもなくなって小次郎は帰路についた。

「しょうがねえ…帰ってまた寝るか…」

こういうときは眠るのが一番だ。
眠ることによって気分もリセットされる。
小次郎はそのことをよく心得ていた。

小次郎は家に戻ると同時に布団に入った。
幸い睡魔はすぐにやってきた。
そのまま小次郎は眠りについた。
次に目覚めた時にはいい具合にテンションがあがっていることを願って…




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10/15版

どうやら北朝鮮に拉致されたうちの5名が一時帰国をはたしたようだ。
テレビのニュースはその話題でもちきりだ。

小次郎はいつものように暇をもてあましてぼんやりテレビを眺めていた。
しかし小次郎は1つ疑問に思った。

北朝鮮は何の目的で日本人を拉致なんかするんだ?

日本についての情報がほしかっただけなら、その情報を得たあとすぐに殺してしまってもかまわなかっただろう。
というよりも、一般人を拉致したところで、たいした情報をもっているはずもない。
小次郎はそれ以上の理由が思いつかなかった。

ぼんやりとしか見ていなかったため、ひょっとしたら、それについてテレビで議論されていたのを見逃したのかもしれない。
あるいはすぐにそれについて検証を始めるかもしれなかったが、小次郎はネットで調べることにした。

パソコンをたちあげ、早速検索してみると…

拉致の理由として『北朝鮮工作員の日本人化教育や我が国に潜入した北朝鮮工作員による日本人への成り替わり等』というのがあげられていた。

確かにこれならば、ある程度の納得はいく。
しかし、ここで拉致した人たちを返すということは、ひょっとしたら、北朝鮮工作員の日本人化教育が完成したと見ることもできるのではないか?
あるいは拉致された人物は今発表されている人物以外にもいて、その人たちへの成り替わりが完成したという可能性もあるのではないか?

ブルッ

そんなことを考えていたら小次郎は寒気がしてきた。
政府にはそのへんのところを追求していってほしいと思う小次郎であった。




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